しかし、身も戸籍も男性になった今も、治療は続いております。
私は幸い、まだそこまで重大な問題に直面していませんが、たまに不調が生じ不安になることがあります。
今後、性別適合手術を受ける方、そしてまだ受けて間もない方に、少しでも役立つ情報となれば、と思い、今回はその辺を書いておこうと思います。
まず、子宮と卵巣を摘出したからこそ絶対に続けていかなければならないのがホルモン治療です。
生理が来なくなったんだからもうホルモン打たなくていいでしょ、と思ってしまう当事者が意外に多いことに驚かされます。
個人のホルモン量によって打つ頻度には差があると思いますが、全く打たなくなってしまうとホルモン不足による体調不良が必ず現れると思われます。
あまり知られていませんが生まれながらに男性の方でも、男性ホルモン不足による体調不良で男性ホルモン投与治療を受けることがあるくらい、体内のホルモンバランスは大切なものです。
私は自分にとって適度にバランスを保てる量を定期的に摂取していますが、先日、忙しさとタイミングの悪さが重なり通常の倍くらい打つ期間をあけてしまいました。
徐々にホルモンが足りなくなっていくことが経験から実感できます。
不調の症状は個人差が大きいようですが、私の場合ホルモン不足が頭痛の症状として現れます。
風邪をひいたときや肩こりで起こる頭痛とは感覚が違うので、すぐに分かるようになりました。
また、ホルモン不足による頭痛は鎮静剤などの頭痛薬が全く効きません。
ホルモン不足に気づかなくて限界に達した時の様子を術直後の記録で書いているので、気になる方は読み返してみてください。
今回はギリギリで摂取できたので、大事には至りませんでしたが、このまま打てなくなったらどうしようという恐怖は感じることになりました。
もし被災をしたり、何かの原因で男性ホルモンが手に入らなくなったりなどした場合、私たちはどうなるのだろう、と。
一時本当に危機が生じたときのことを思い出し不安が蘇りました。
内摘をしていなければ、男性ホルモンが打てなくなっても女性ホルモンを作れるのでホルモンバランス的には問題はありません。
怖いのは内摘後の話になります。
なので、あまりにも若いうちに内摘するのは長い将来のことを見据えて、ご本人がよく考えて決めていただきたいと思います。
今の時代、自身でいかようにも選択できるわけです。
私が20代だった20年前とは違います。私が30代だった10年前とも違います。
当事者にとっては今でも悩みは尽きないと思いますが、時代とともに様々な問題がクリアになり、確実に生きやすい社会になってきてはいるのです。
可能な限りはいつでも望む方向へ進める時代ですから、焦らずによく考えて、ご自分が一番楽に生きられる道を見つけてくださいね。
そしてきっとまた数年後には驚くほど医学が発達しているかもしれませんしね。
さて、不完全ながらも男性器となった私の秘部ですが(^_^;)
私は見た目も機能も満足しています。
が、やはり術後経年に生じる不安が出てはきていますよ…。
長くなったのでその話はまた次回にしますね。